CB&R WATAHIKI Restore 356A vol.2
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切った、貼った
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リアエンジンフードの謎
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右と左で顔が違う
!?
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(
2001
年
5
月)
切った、貼った
前回まででボディの基本フォルムは本来の美しいラインを取り戻した…
かに見えたが、そこは
1958
年からの長い年月を過ごしてきた彼女。
一筋縄でいくハズもない。
これは右フェンダーのドア取り付け部付近。
嫌な気配がプンプンする、開けたくないパンドラの箱か…。
案の定。
(写真①)
錆びた部分は完全に切り取り、ワイヤーブラシで表面の錆びを落としていく。
(写真②)
ここで
Vol.1
で登場した
錆転化剤
の登場です。表面に赤錆が残っていると腐食が進行してしまうので転化剤を使って黒錆に変化させます。特にここは見えない(手の入らない)場所ですから。
(写真③)
錆転化剤を塗布した部分が青色から青黒く変色したら黒錆に変化した証拠。これで表面に強固な皮膜ができるので錆の進行を防ぐことができます。
次に切開した部分に合わせて鉄板を切り出し、フランジをつけて取り付けます。
(写真④)
鉄板を溶接し、サンダーで盛り上がった部分を削って磨いたらこの部分の修復は完了です。
写真①
切開したところ。
予想通りの錆だらけ…。
写真②
錆びた部分を切り取り
ワイヤーブラシで表面の錆を落とす
写真③
錆転化剤を塗布したところ
写真④
切開した部分に合わせて
鉄板を切り出します
リアエンジンフードの謎
レストア中のこの
356
、シャシ
No.104389 1958
年製の
356A-1600
です。
それは
プレート
を見ても明らかなのですが…。
なぜか、エンジンフードに
GT(!)
のものと同じスリットが入っています。
それに重量もスチールなのに軽量。グリルが取り付く部分の内側に
F389
と打刻が入っています。
(写真⑤)
これってもしかして…
389
台目の車に付いていたもの?それとも
389
台目の
カレラ
用フード?
古い車のレストアは資料も少ないこともあり(楽しいことですが)想像が膨らんでいくものです。
もし
ホンモノのカレラ用フード
だったら…
そんな思いから先に仕上げて部屋に飾っておくことにしました。
(写真⑥)
(色はへこみが目立つブラックに挑戦する事に決定)
もうお気づきの方もいらっしゃるかと思いますが…。
そう、この「
389
」はシャシ
No.
の下3桁、つまりまぎれもないこの車両のものでした。その後分解したドア内側にも同様の打刻がありました。
結局のところ、ポルシェは生産時にフードとか、ドアといった部品に
その車両のものであることを示す打刻を
1
台
1
台していた
…というのが事実のようです。
では、この車体はカレラのものなのか…謎は深まるばかりです。
写真⑤
F389
と打刻されたフード
写真⑥
仕上がったリアフード
(
2001
年
6
月)
右と左で顔が違う
!?
よく人間の顔は右半分と左半分では別人…などと言うが、車でもそんなことがあるのだろうか…。
ご覧の通り、ボディーとフロントフードのクリアランスが違ってます。
①向かって左側は接触しているのに向かって右側は隙間があいてます。
またフェンダーの下端が左側は外側に開いているのに対して右側は内側に回りこんでいるのがお分かりでしょうか?②
当然、車は左右の顔が違う…なんてことはありませんから、これも修復します。
修復後のフロントビュー。
左右が対象に、またクリアランスも整ったのが解るでしょうか。
原因は右フェンダーをいつの時代かに交換したらしく、その際の取付け方に問題があったためこのような問題が起きたようです。
そこで接合部分を一度はずし再溶接しました。
接合部分はパテがわりにハンダが盛られており、バーナーであぶると垂れてきました(写真⑦)
さて次回はなんとフロアをカット! しかし…。
Vol.3
をおたのしみに。
写真⑦
フェンダーの接合部分
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